消化器外科医の 梅谷 直亨 (うめたに なおゆき) と申します。
もともと、大腸疾患を専門としており、大腸癌のほか、大腸の炎症性疾患などの診断治療に携わってきました。 現在は、直腸脱の治療に力を入れています。
直腸脱に対する腹腔鏡下手術を手がけるようになったのは、保険収載と同時の 2012年からです。 それまでは、ガント-三輪-ティルシュ手術などの経会陰手術を行っていました。 残念ながら、術後再発が多く、思いどおりの結果が得られないので、好きにはなれませんでした。 そこで、いち早く腹腔鏡下手術を始めたのですが、当初は文献に従い Wells法を行いました。 しかし、直腸への神経を全て切ってしまうことに抵抗を覚え、あまり積極的にはなれませんでした。
その後、自分なりに工夫して神経を温存する術式を試みるうち、何人かの患者さんから涙ながらに感謝されるという体験をさせていただきました。 良性疾患に対する手術は、ともすれば外科の中では軽く見られがちですが、術式によって大きく術後の QOL が左右され、ここまで感謝される手術があることに強い衝撃を受けました。
そのような経験から、さらに術式を改良して今日に至っています。 そして、腹腔鏡手術がもっと一般的となることの一助になればと思い、本サイトを開設いたしました。
著者自身は、直腸脱に対する積極的な根治手術によってもたらされるQOLの向上とADLの改善は、患者さんの尊厳を保ち、ひいては生命予後をも改善すると考えており、ある程度のリスクに見合う価値があると考えています。
一方で、良性疾患(癌などのように放置していると確実に死に至る疾病ではないもの)なのですからリスクを最小とすべき、という考え方に異を唱えるつもりはありません。 最も尊重すべきは、ご本人の価値観に基づく意思だと思います。
直腸脱はこれまで歴史的に肛門科が担当してきました。 なぜなら、「肛門から腸が飛び出す」ので、肛門疾患として扱われてきたからです。 また、過去には経腹的な吊り上げ手術のためには開腹が必要であり、過大侵襲と考えられたため、もっぱら経会陰的手術が行われてきたからです。
しかし、本来、直腸脱は腸の病気です。 腹腔鏡手術の技術も格段に進歩しましたので、低侵襲な吊り上げ手術が実現可能となりました。
ですので、これからは、大腸の腹腔鏡手術に慣れた外科医が担当するほうが適切ではないかと考えるのです。
筆者が腹腔鏡手術を始めたのは、1994年に遡ります。
最初は胆のう結石に対する胆のう摘出術でした。 当時はカメラの画質も悪く、細かい縫合操作などには向かない性能でした。 その後、機器の進歩により、精細な画質が得られ、精緻な手術ができるようになって次第にその割合は増え、10年ほど前からは大半の大腸がんの手術は腹腔鏡で行うようになりました。
直腸脱の腹腔鏡手術を最初に手がけたのは 2012年です。 この手術では、特にメッシュなど縫合する操作が主体となります。 針糸を使った縫合操作などの細かく複雑な操作は、難しいといえば難しいのですが、日常的にやっているうちにすっかり慣れてしまいました。
おかげさまでご紹介いただける患者さんも増え、2023年には70人以上の直腸脱の患者さんに腹腔鏡下直腸吊り上げ固定手術を行いました。2024年は100人以上と、さらに増えています。
腹腔鏡手術ほぼ全例が登録される NCD 集計の2023年の年間手術数は、全国で年間1919件でした。 全例カウントされていますので、ざっと全国の手術の 1/20 を私がこなしている計算になります。
体力が続く限りまだまだ頑張ります!
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主要な論文の一覧はこちらです。 もともと大腸がんを専門としていましたので、大半が大腸がんにかかわるものです。