医師個人がこのようなサイトを運営することは例外的だと思います。 運営する理由は、直腸脱に苦しむ患者さんをできるだけ減らしたいと考えるからです。
高齢化が進む中で、直腸脱の患者さんは増加傾向にありますが、必ずしも適切な治療が行われているとは限りません。 また、高齢であることなどを理由に治療を諦めさせられている多数の不幸な患者さんを診てきました。 その多くは、情報不足もしくは「正しくない」情報が原因です。 医療者や介助者側の無理解もその根底にあります。
最善とはいえない手術による後遺症に苦しんでいる患者さんもたくさん診察してきました。
この状況を改善するには、直腸脱に関する最新の正しい情報を、だれもが容易に得られるようにしておく必要があります。 しかし、Google などで検索してみると、時代遅れの情報のほうが多いくらいです。 医療機関のホームページを見ても、その病院でできる治療法だけが提示され、現代の標準治療である腹腔鏡手術には触れられていない場合がしばしばあります。 それどころか、「危険な全身麻酔が必要なので高齢者には不適切」という誤解に基づく記載も散見されます。
そこで、多くの患者さんを諦めることなく治療してきた外科医自身が、わかりやすい形で情報発信することが重要だと考えたわけです。
以上の点に留意し、本冊子を活用してください。