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はじめに

本冊子は、直腸脱に関する情報を提供するウェブサイト (https://www.datsu.info/) の内容を書籍の形式にしたものです。
内容はすべて、直腸脱の腹腔鏡による治療に本気で取り組んでいる外科医である著者が個人として責任を持って記述しています。

医師個人がこのようなサイトを運営することは例外的だと思います。 運営する理由は、直腸脱に苦しむ患者さんをできるだけ減らしたいと考えるからです。

高齢化が進む中で、直腸脱の患者さんは増加傾向にありますが、必ずしも適切な治療が行われているとは限りません。 また、高齢であることなどを理由に治療を諦めさせられている多数の不幸な患者さんを診てきました。 その多くは、情報不足もしくは「正しくない」情報が原因です。 医療者や介助者側の無理解もその根底にあります。

最善とはいえない手術による後遺症に苦しんでいる患者さんもたくさん診察してきました。

この状況を改善するには、直腸脱に関する最新の正しい情報を、だれもが容易に得られるようにしておく必要があります。 しかし、Google などで検索してみると、時代遅れの情報のほうが多いくらいです。 医療機関のホームページを見ても、その病院でできる治療法だけが提示され、現代の標準治療である腹腔鏡手術には触れられていない場合がしばしばあります。 それどころか、「危険な全身麻酔が必要なので高齢者には不適切」という誤解に基づく記載も散見されます。

そこで、多くの患者さんを諦めることなく治療してきた外科医自身が、わかりやすい形で情報発信することが重要だと考えたわけです。

  • 本冊子は、いわゆる健康相談や遠隔診療を目的とするものではありません。お問い合わせページは用意してありますが、そこから病状を送信したり受診相談をすることはご遠慮ください。
  • 本冊子は、あくまでも著者個人の知識および見解をわかりやすく提供するものであって、主観が含まれており、必ずしも著者以外の医療従事者や学会等で広く認められている意見とは一致していないことがあります。広く認知されている意見として、学会からのガイドラインが公開されています。参考資料のページにリンクをまとめておりますので、ぜひ御覧ください。
  • 本冊子の情報は、個人の状況に応じた診断や治療法を示すものではありません。自己判断せず、必ず専門医を受診してください。
  • 本冊子にて紹介している患者さんの例については、個人を特定されることがないよう、脚色を加えてあります。
  • 本冊子の記事や画像、その他のコンテンツの無断転載は禁止させていただきます。引用する場合には、必ず出典を明示してください。
  • 本冊子の内容は、著者の所属する病院のサイトの内容と一部重複しておりますが、これは著者が病院に原稿を提供しているためです。内容について著者の所属する病院に問い合わせをすることはお控えください。
  • 小児に生じる直腸脱については、本冊子では扱っておりません。

以上の点に留意し、本冊子を活用してください。


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